第9章 駈けだす想い
「そんな、信じられない!」
「でもよかったね!明日はエルドさん見つけてちゃんと返事するだよ!壁外調査帰ってきたらデートが待ってるんだからね!」
そう言うとフレイアの顔が照れくさそうに真っ赤になった。
「うん、クレアも、手紙届けてくれてありがとう!」
エルドの手紙の件が一件落着してホッとしたクレアは、ハンジの執務室に向かっていた。
「失礼します!」
「お、クレアお疲れー!今日はお風呂すませてきたんだね!」
「はい……さすがに暑くて汗かきましたから…って!ハンジさん!これからどんどん、暑くなるんですから、きちんとお風呂入って下さいね!部屋のシャワー室がもったいないですよ!」
モブリットが真剣な顔をして深く頷いていた。
今日もいつもの通り媚薬の精製をし、10時をまわる頃にはクレアは片付けを一通り終わらせて、上がる準備を始めていた。
「ねぇ、クレア。調査兵団はどう?もう慣れた?」
「……?!」
思いがけなかったハンジの質問に少し戸惑ったが、答えなど決まっている。
「はい、馬当番の洗礼は本当にキツかったですが、もうすっかり慣れましたし、訓練や夜のお手伝いもだいぶ慣れました。」
「そうか、よかった。それと、私の班にきて、後悔してない?」
ハンジはいつになく真面目な表情だ。
そんな顔を見せられては、答えるクレアの言葉にも力が入ってしまう。
「後悔だなんて……ハンジさんの班に入りたいと思ってから今に至るまでそんなこと思ったことは1度もありません!…毎日が新鮮で充実して……楽しいです。ハンジさんの班で調査兵団入団できて本当によかったと思ってます。」
そんなクレアの返事を聞いて、ハンジもモブリットも安堵の表情をうかべた。
「よかった。そしたらクレアに大事な話があるんだ。聞いてくれるかい?」
「は、はい!」
「1週間後の壁外調査、生きて帰ってこれたらクレアも晴れて1人前だ。無事に戻ってこれたら、夜の仕事もとことん付き合ってもらいたいんどけど……どう?いいかな?」
「…………………!!」