第9章 駈けだす想い
「あぁ!あの!あの!ご、ごめん!本当にごめん!フレイアに好きな人がいるって知ってたのに…こんなこと引き受けちゃって…」
クレアはもうとにかく必死に謝るしかなかった。
「………しょ……?!」
「??」
しかしペコペコと謝るクレアの耳から聞こえたのは、予想とは違うものだった…
「嘘でしょ……?エルドさんが、私に手紙なんて…」
「え?どういうこと?」
「あれ?言ってなかったっけ?私の好きな人って…エルドさん……だよ??」
「え?えぇぇぇぇぇ!?」
クレアの驚きの声にフレイアも驚いた。
「聞いてなかったぁ…私、勝手にフレイアの好きな人は別の人で…でもエルドさんは年上だから断りきれなくて、どうしようって展開になるのかと思って、ずっと頭の中パニックだったよ……」
クレアはヘナヘナと腰が抜けてしまい、ベッドに座り込んでしまった。
「ちゃんと言ってなくてごめん。実は私の好きな人、エルドさんなんだ……背も高くてかっこいいし、特別作戦班の精鋭だし……まぁ身の程知らずもいいところだよね。」
フレイアは恥ずかしそうにペロッと舌をだすと、クレアの隣に腰かけた。
「身の程知らずなんて!まだそんなのわからないよ!ねぇ、手紙、なんて書いてあるの?」
「えー、なんか緊張しちゃって見れないよ!」
フレイアは震える手で小さく折りたたまれた手紙をひらき、書かれてある文字を1つ1つ読んだ。
────フレイア・コートニーへ────
直接話がしたかったが、なかなかできる機会がなかったので、クレアに手紙を渡すようお願いしてしまった。
壁外調査が終わったら、一緒にどこかへでかけないか?
照れくさいが、デートの誘いです。
いい返事を待ってる。
エルド・ジン
「「………………………………!」」
「こんなことって…信じられない!」
「そういえば……少し前に、私、エルドさんからフレイアの名前を聞かれたことがあった!エルドさんも、ずっとフレイアのこと気になってたんだね!」
「え?そんなことがあったの?」
「あの時はまったく意図がわからなかったんだけど、こういう事だったのかぁ。」