第56章 新成ハンジ班!始動!!
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思っていたよりも早く売りさばけたのだが、ビスマルク夫妻の店で歓談していたら兵舎につく頃にはすっかりと日が暮れていた。
「あっ!クレアお帰り!!」
「ニファさん、ケイジさんにパドリックさん。お疲れ様です。資料はどうでしたか?」
クレアが厩舎に行くと、先に戻っていた3人に声をかけられた。
「あぁ、なんとか日が暮れる前に売り切れたよ。クレアも、その様子じゃ完売か?」
「良かったですね!遠くまでお疲れ様でした!私の方も、なんとか…売り切れました!トロスト区の商店の皆さんには高い関心をもって頂いて…ハンジさんの売り込み方法は使わずに済みました…」
「クレアの方もか。ローゼ南の方も、冬の積雪量を知りたがってる農家が多くてな。もしもの時のためにニファには覚悟を決めておいてもらったんだが、出番はなかったよ。ハハハ!」
「はぁ…まぁ、あんな方法使わなくても売れたのにこした事はないが…なんだよ、俺はリヴァイ兵長に脅され損か?」
パドリックは軽快に笑ってみせたが、ケイジは今朝のリヴァイの脅しが心底怖かったのだろう。
何故自分がこんな目にと言いたげな口調でため息を連発した。
「ケイジさん…なんだか本当に…すみませんでした……」
せっかく人手不足のハンジ班に編入してもらったのに、しょっぱなからいらん被害に遭ってしまったケイジ。
クレアは無性に罪悪館を感じ、ひたすら謝るしかなかった。
「い、いや……クレアが謝らなくても……」
必死に頭を下げているクレアを止めようとすると、厩舎の外から騒がしい声が聞こえてきた。
「分隊長…!!調査兵団はただでさえ税金の無駄遣いだと悪い印象を持っている人間が多いんです!もう今後はあの様な……」
「わーったわーった!!モブリットの頭は変わらず固いなぁ。売り切ったんだから文句はないだろう?」
「結果だけでは無く、その過程も大事な事もあるのだと忘れないで下さい!!」
くどくどと説教をされながら厩舎に入ってきたのはハンジとモブリットだった。