第56章 新成ハンジ班!始動!!
目的の場所に着くと、クレアは近くの木にデイジーを繫いだのだが、入ろうと思っていた店から人が出てきた。
「クレア?!」
「あっ!!」
店から出てきたのは、クレアが世話になったいる香油屋の女将、マーサだった。
「やっぱりクレアだったのね!?窓からクレアによく似た女の子が見えたから出てきたのだけれど、本当にクレアだったのね!!」
「マーサさん!こんにちは!」
「今日は仕事なの?兵服のあなたは初めて見るわ。」
「そ、そうなんです。ちょっとグレンさんとマーサさんに見て頂きたい物がございまして…」
「あら?そうなの?じゃあお店に入って?グレンもあなたに会いたがっていたのよ。」
「は、はい!!」
クレアはマーサからバケツを借り、デイジーに水を飲ませてやると、例の資料を片手に店へと入った。
ーカラーンコローンー
店の扉を開けると凛とした涼しげなベルの音が店内に鳴り響く。
中には相変わらず恰幅のいい店主、グレンが細かな細工の入った美しい小瓶に器用にも香油を注ぎながらクレアの顔を見た。
「おっ!やっぱりクレアだったか?元気にしていたか?」
「グレンさんこんにちは!」
「この間の壁外調査、犠牲者がたくさんでたのでしょう?心配していたのよ……」
「ご、ご心配おかけしました…」
「無事で本当に良かったわ…今お茶を入れるから、さぁ座って。」
「ありがとうございます…」
日当たりのいい窓辺の椅子に案内されると、クレアはすすめられるまま腰掛けた。
このお店は商店街から少し外れているため人通りも少なく周りがすごく静かだ。
窓からはバケツの水を飲みながらポカポカの陽の下でのんびりしているデイジーが見えた。