第56章 新成ハンジ班!始動!!
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「ほう…こんな研究をしていたのかい?面白いね。1部買わせてもらうよ。」
「あ、ありがとうございます!!!」
クレアは代金を受け取り丁寧に頭をさげると、店を出た。
クレアはトロスト区内の商店を中心に、ニファにケイジにパドリックはローゼの南区辺りの農村や市街地に、そしてハンジとモブリットはもう少し遠方の農村地帯まで行き、売りさばく事になった。
クレアはトロスト区内を担当する事になったため、他の班員よりも移動時間が少ない。
そのため、資料は1番多く持たされた。
全て売りさばくには、商店1軒1軒に訪問してとにかく押し売りをするしかない。
そう覚悟を決めて挑んだのだが、予想に反してこの“カマキリの積雪予報”の資料はよく売れた。
商店等、客相手の商売をする人間には直近の天気予報も大事だが、仕入れや催し物をするにあたって、積雪のような長期的な予報も大変重要な情報だ。
それが、この資料1つで手に入るなど安いものなのだろう。
今朝はハンジから“おねだり幼女設定”でとんでもない売り方を仕込まれたが、そんな事をしなくても資料はどんどん売れて行った。
「ふぅ…だいぶ歩いたわ。もうクタクタ。」
クレアはデイジーに100部近くの資料を積んで手綱を引きながら歩き回ったが、よくよく確認すると、残りはあと1冊だ。
「凄い…もうこんなに売れたのね?!」
残りはあと1冊。
だが、この辺りの商店は全て回ってしまった。
もう少し遠くまで行ってみるかと思ったのだが、ここからそう遠くない場所にも1軒、買ってくれそうな店があったとクレアは閃いた。
「デイジー、この先まで行ったら休憩にできそうだからもう少し頑張ろう!!」
そう言ってクレアはポケットから角砂糖を1つ取り出すと、デイジーの口に入れてやった。