第56章 新成ハンジ班!始動!!
「本来ならこのままこの媚薬で資金を作りを続けたいんだけど、巨人化する人間に壁の秘密、エレンやヒストリアの事とか、考えるだけでもやる事は膨大な量だ。しかもこの短期間で精鋭を中心とした兵士を失って、調査兵団は非常に危うい状況。毎晩コツコツと媚薬を作り続けるのはもう当分の間不可能だ。」
「え…で、では……」
「それでコレだ!!!」
バンッ!!と手のひらを先程の資料の上に叩きつけると、皆そこに注目した。
「これは、兵団内で何か有事が起こった際に、緊急で現金化できる“ブツ”として温存しておいたんだ。雲の流れで天気を読める人間はこの壁内にある程度いる。それで収入を得ている人もいるくらいだ。でも、その冬の積雪量まで読める人間は、さすがにいない。でも、その冬にいったいどれだけの雪が降るのか知りたい人間は…意外に多い。農業や建設業だけではなく、お客さん商売をしている人間ならば、少なからず興味をそそられる内容だ。」
「で、では分隊長…それは……」
「うん!!増刷して、欲しいヤツに売って売って売りまくる!!題して“ハンジ班!売りまくり大作戦”だ!!これで当面の兵団の資金をまかなう事になるからみんな気合入れて売ってきてよね!!」
「ハンジさん………」
クレアは3年分の研究結果がつまったこの資料を何故すぐ公に発表しなかったのか少し疑問に思っていたのだが、今の話を聞いてやっとその意味を理解する。
ハンジは緊急時、すぐに現金化できる隠しアイテムとして保管していたのだ。
「それじゃあ早速………よいっしょっ!!どっこらっしょ……」
するとハンジは棚から紙の束をドン!ドン!ドン!
と音を立てて並べていく。
「ハンジさん…?これ…なんですか?」
ケイジがこの白い紙の山を指さして問いかけるが、その答えにその場にいた5人は驚愕した。。
「何って?資料はここにある一部と、エルヴィンに提出した一部しかないんだ。だから今からみんなで増刷するんだよ?勿論!手書き!でね?!」
「……………」
意味不明なハンジの発言に、執務室内の温度が5度程下がったような感覚に襲われたのは言うまでもないだろう。