第55章 ハンジ班!新結成!
クレアのあどけない笑顔に焼かれたリヴァイの胸は、まるで焦げたカラメルだ。
いつぶりかに見たクレアの笑顔はとても甘い。
それ故にリヴァイの胸はカッと熱くなったが、それと同時に黒い焔に包まれ甘い熱をジリジリと焦がしていった。
クレアをこんなにかわいらしい笑顔にしたのが自分でないことに、リヴァイは大人気なくハンジに対して嫉妬してしまった様だ。
大人気ない。
誠に大人気ない。
しかし、この美しい瞳に他の男の姿を映したくないのと同じく、クレアを笑顔にさせるのはいつだって自分でなくては気が済まない。
だが、ハンジに心臓を捧げた奇行種クレアだ。
上官を敬愛する想いを否定する事もできず、気付けばリヴァイは黙り込んでしまった。
「…兵長…?」
どんどんとムスくれた顔になっていくリヴァイに、クレアは不安げな表情で声をかける。
「……………」
子供じみた嫉妬に葛藤していたリヴァイは、クレアに声をかけられると、そこで初めて自身の眉間に力が入っているのに気付いた。
「わ、私…何か…お気に障る事を言ってしまいまいましたか?」
クレアの事だ。
こんなに力一杯眉間にシワを寄せていたら気を揉むのも仕方ないだろう。
「悪かった、なんでもない。」
リヴァイは小さく両手を上げて“降参”の様なポーズをとると、クレアの肩を抱き寄せてピッタリと自身に密着させた。
「少し嫉妬をしていた…お前は何も悪くない。」
「…え?!」
リヴァイの正直な告白に驚きを隠せなかったクレアは、その透き通る硝子玉の様な蒼い瞳をパチパチとさせなからリヴァイを見つめる。
「クレアが敬愛してやまない不衛生な分隊長にだ…お前はそいつの話になるといつも楽しそうに笑うからな…」
そう言いながらリヴァイはクレアの両脇に手を入れると、自身の膝に跨がらせる様に座らせた。