第55章 ハンジ班!新結成!
「兵長、失礼致します…遅くなり申し訳ございませんでした…」
リヴァイの執務室に到着すると、既に部屋の主は机に向かい仕事をしていた。
「医師の手伝いをしていたんだろ?別に構わない…エルヴィン達の容態はどうだった?」
「団長の意識はまだ戻っていません。なので交代で付き添いの方には側にいてもらって、とにかく患部は清潔を保つようにと先生は仰ってました。ミカサは…まだしばらく安静にしていて欲しいのですが、様子を見に行ったら兵服姿で腹筋運動してました…」
「そうか…了解した。」
チラリとクレアを見たリヴァイはすぐに書類へと視線を落としてしまった。
机を見れば書類の山だ。
きっとエルヴィンの分も代理でやっているのだろう。
「すぐに紅茶を淹れますね!」
「あぁ…助かる。」
クレアは急いで湯を沸かして紅茶の準備をすると、リヴァイの元まで持って行った。
「お待たせしました。どうぞ…」
「…………」
フワリと深く香る紅茶の香り。
これは、間違いなくクレアが淹れた紅茶の香りだ。
浮きだつ気持ちを悟られぬ様、ポーカーフェイスを貫いたまま一口啜れば、濃厚な茶葉の味わいが口いっぱいに広がっていく。
離れている間はペトラやオルオが淹れてくれていた。
決して不味くはないのだが、クレアが淹れる紅茶の味を知ってしまってからはもうそれ以外では満足できなくなってしまった自分がいる。
特にエレンが淹れた紅茶はただの紅茶色をした湯でしかなく、厳しく説教をしてしまった程だ。
「悪くない…」
「良かったです。では、私もお手伝い致します。」
“悪くない”はリヴァイの褒め言葉だ。
その感想にホッと一安心したクレアは、ごそっと書類の山を1つ抱えると、応接セットまで持っていき、いつも座っている場所に座ると早速仕事に取り掛かった。
すると、少し間を置いてからクレアの隣にやってきたリヴァイ。
「……………」
リヴァイが隣にきて一緒に仕事をする。
約1ヶ月前までは日常であり、毎朝のルーティンとなっていたこの仕事。
だが、色々な事がありすぎて、もうこの日常は日常ではなくなってしまった。