第55章 ハンジ班!新結成!
翌日
クレアは医師から包帯を変えてもらうと、エルヴィンとミカサの回診に同行した。
巨人によって噛み千切られた腕は痛々しく、その患部はクレアでも目を背けてしまいたくなる様な悲惨な状態だった。
少し発熱もあり予断を許さない状況だ。
腕の包帯を変えて、新しい点滴に変える。
今は細菌による二次感染を起こさない事を祈るだけだと医師は言った。
「団長………」
ハンジ達の話では、腕を千切られても意識を失わずに、エレンを取り戻して壁内に到着するまで全兵士の指揮をとっていたと言う。
だが、壁に着くと、こと切れた様に意識を失ってからまだ目覚めていない。
今日で3日目だ。
とにかく今できることは患部を清潔に保つ事と、点滴を絶やさない事だ。
苦しそうに顔をしかめているエルヴィンの表情に胸がズキンと痛んだが、次はミカサの様子を診にいかなくてはならないため、クレア達は付き添っている兵士に会釈をすると、この部屋を後にした。
そしてミカサは肋骨を折っており、しばらくは絶対安静だと医師が言っていたのだが、部屋に入ると兵服を着てベッドの上で腹筋運動をしていたため慌てて2人で止めた。
「ちょっとー!!ミカサー!!何やってんの?」
「もう…治りました。」
「そ、そんな事ありえないから!!ほら!寝て!寝てて!!」
強がっている様子には見えないが、医師の診断では「肋骨を骨折」しているのだ。
奇行種と呼ばれているクレアでも、ヒビが入った時はしばらく痛んだ。
だがミカサはヒビではなく折れているのだ。
3日目で腹筋運動を始めるなど…
クレアは他の104期のメンバーがミカサの事を“化物級”と呼んでいた理由が少し分かったような気がした。
「クレア君、ありがとう。君も負傷兵なのに手伝わせてすまなかったね。」
「そんな…これも私の仕事なので、先生は気になさらないで下さい。私も団長の部屋にはこまめに様子を見に行きますので、何かあればすぐに報告致します。」
申し訳なさそうに謝る医師に、クレアはとんでもないと答えると、次はリヴァイの執務室へと向かうため長い廊下を走り出した。