第55章 ハンジ班!新結成!
「そんな事…気にしないで下さい…ハンジさんがご無事で、本当に良かったです。」
兵士に怪我はつきものだ。
火傷の傷跡など全く気にしていなかったクレアだが、ハッと大事な事を思い出すと、リヴァイとハンジの顔を交互に見ながら問いかけた。
「そ、そんな事よりも…兵長!ハンジさん!!エレンは?エレンとユミルは無事なんですか?それにライナーとベルトルトは捕える事はできたのですか?!あぁ…私、肝心な所で気を失って……もう最悪です……」
頭をグシャりと掻くと、悔しそうに吐露するクレア。
そんなクレアの心境を察してか、リヴァイはベッドの横にある丸椅子に腰掛けると、包帯の巻かれた手をそっと握りながら、ハンジと今回の事件の経緯を話してやった。
ライナーとベルトルトにより、一旦は攫われたユミルとエレンだったが、なんとかエレンだけは取り返した事、後の3人の行方はわからない事。
そして多くの調査兵、駐屯兵、憲兵が死んだ事。
エレンが巨人を操ったかもしれない事。
最後にエルヴィンが右腕を失って、まだ意識を取り戻していない事などを話した。
「そ、そんな…ユミル…エレン…それに…エルヴィン団長……」
そんな大変な事が起きていながら何もできなかった事が悔やまれる。
クレアの表情はさらに暗く曇っていった。
「こ、こんな事が一気に起こって……私達はいったいどうなるのでしょうか……」
話を聞けば、ミケの安否は不明なままで生存している可能性はゼロに近い状況だという。
リヴァイ班の班員だった4人。
ゲルガー班にナナバ班。
それにミケ。
精鋭の兵士を中心に調査兵団はその戦力を失ってしまった。
それなのにこれから超大型巨人に鎧の巨人、敵になってしまったのか分からないユミル、そして真夜中のウトガルド城で姿を見せたという謎めいた獣の巨人…
どうやって対抗していけばいいのだ。
そこかしこに負った火傷が、怒りや不安や恐怖といった感情に呼応するようにジクジクと痛み、クレアは奥歯をギリリと噛みしめた。