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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第54章 裏切り者の戦士






「きゃああああ…!!!」




2人が巨人化する爆風で、空中に舞っていたクレアとミカサはさらに舞い上がり、壁上にいた兵士たちもその圧力で一気に吹き飛ばされてしまう。



「ウソ……こんな……」



短い間だったが共に訓練に励み、切磋琢磨してきたライナーとベルトルト。

ライナーもベルトルトも訓練兵団を上位で卒業した精鋭候補の兵士だったはず。

クレアはトロスト区の襲撃で巨人の驚異を目の当たりにしたにも関わらず入団してきてくれた104期は、特に思い入れがあった。



しかし爆発音と爆風の中現れたのは、5年前のあの日、自分という人間に生を授けてくれた両親を一瞬にして亡き者に変えた超大型巨人と鎧の巨人だった。


クレアは鎧の巨人を見るのは初めてだったが、超大型巨人を見るのは2度目。


あの時吹き飛ばした壁の破片で両親の命を奪ったのが、少し無口だけど、優しかったあのベルトルトなんだと思うと、クレアは吐き気にも似た悔しさが込み上げてきた。







巨人化したライナーはエレンをその手に握り連れ去ろうと壁を飛び降りる。



「エレン…!!!!!」



しかし、エレンもクレアと同じ心境だったのだろう。





「この……裏切りもんがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」






ライナーとベルトルトに向けて、魂からの叫び声を上げると、その手はエレンの口の中で血飛沫を上げて噛み千切られた。





巨人化したエレンがライナーを思い切り殴り地面へと叩きつける。





「あの時……私がちゃんとベルトルトを殺していれば……」


クレアは躊躇ったつもりなどなかった。


ハンジの命令であれば、例えそれが人間であっても殺せると思っていたクレア。


しかし、人間を“殺す”という事は、巨人を“討伐”する事とはまったく違う次元のモノだったのだろう。


躊躇いがなかったクレアでさえも、心の何処かで訓練を共にした仲間という“情”が邪魔した様だ。




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