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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第54章 裏切り者の戦士





「わっ!きゃっ!!」



「ちょっとクリスタ!!気をつけて!!」



瓦礫に躓きヨロけたクリスタを、後ろから腕を掴んで阻止すると、ハンジも急いでユミルに駆けつけた。



身体からは水蒸気が発生し、無惨にも右腕と右脚が半分ほど食い千切られている。

そしてその顔にはエレンの時にも見られた巨人化した後の独特な跡が残っていた。



普通の人間であれば絶望的な状況だが、ユミルは弱々しくも呼吸をし、まだ生きている。



「ユミル…聞いて……私の本当の名前……ヒストリアっていうの……」



「…………」



苦しそうに顔を歪ませていたユミルだったが、クリスタの本当の名前を聞くと、安心した様な柔らかな表情で静かに目を閉じた。






───────────────



生存者は104期のコニー、クリスタ、ユミル、ライナー、ベルトルトの5人。


ナナバにリーネ、ゲルガーとへニングが彼等と同行していたが、真夜中に突如現れたのは巨人の大群によって死亡したと報告された。


もう日が昇っている。
巨人が活動を始める時間だ。


壁の破壊場所の特定も急がなくてはならないが、まずは、武装されていない104期の新兵を非難させなければならず、ハンジ達は一旦壁まで上がった。


ひとまず壁の上までくれば一安心だろう。


長い間、それこそ徹夜で緊迫状態が続いていたのだ。

コニー達はやっとの思いで壁の上まで上がってくると、安堵のため息をついた。




壁の上まで全員が避難を終えると、クリスタは真っ先にハンジに駆け寄り必死にユミルの事を話し始めた。




「ハンジさん!どうか!信じてください!本当なんです。ユミルは私達を助けるために正体を現して巨人と戦いました!自分の命も顧みないその行動が示すものは我々同志に対する忠誠です!」



「クリスタ……」



他の新兵同様疲れ切ってる筈なのに、クリスタはユミルの潔白を必死にハンジに訴えている。

きっと友人や戦友などという言葉では表せない程の想いで2人は繋がっていたのだろう。



ハンジは真っ直ぐに自身を見つめ訴えるクリスタの話を頷きながら耳を傾けた。



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