第53章 謎と疑惑と真実
「は…?何だよ…アルミン、何でそんな話になるんだ…」
「エレン……」
アルミンはできる限り頭を捻り、発想を飛躍させた。
そうしなければ、彼等に対抗できないからだ。
しかし、エレンは良くも悪くも熱く真っ直ぐな性格。アニが女型の巨人の正体かもしれないと話をした時も、すぐは信じようとしなかった。
無口で冷徹な印象のあるアニでさえあの様な反応だったエレン。
やはり、3年間苦楽を共にしたライナーとベルトルトも、すぐに疑う事はできない様だ。
「エレン!!…イヤ……全員聞くんだ…」
だが、この状況で仲間としての情などで問答している時間などない。
ハンジは“何を言ってるか分からない”と言いたげなエレンの言葉を遮ると、そこに居る全兵士に命令を下した。
「もし……ライナーとベルトルトを見つけても、こちらの疑いを悟られぬ様に振る舞え。もちろん、アニ・レオンハートの存在には一切触れるな。彼らがアニの共謀者であってもなくても、彼らを上手く誘導して地下深く幽閉する必要がある。……いいね?!」
ハンジはアルミンの推測を“飛躍させすぎ”とはとらえなかった様だ。
各兵士が頷く姿を確認すると、ハンジは急いで持ち場に戻る様に再度指示をした。
「ハンジさん…ライナーとベルトルトがアニの仲間だなんて…」
アルミンとハンジの話は理解しているつもりだったが、クレアは驚きを隠せなかった。
短い期間だったが、一緒に訓練をした後輩だったのだ。そんな2人が裏切り者かもしれないなど、クレアは今この時点まで疑ってなかったのだ。
「ん?あぁ…、私だってやたらめったら疑うなんてしたくはないよ。でも、アルミンの様に発想を飛躍させなければ我々は対抗できない。でも…もしもの時はクレア…分かってるね?決してためらってはいけないよ?」
「…はい!!」
「分隊長!!リフトの準備完了です!すぐに馬も乗せられます。」
クレアがハンジに敬礼で答えると、リフトの準備ができたとモブリットが呼びにきた。