• テキストサイズ

ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第53章 謎と疑惑と真実





どれだけ脅しても口を割らない男を殺した所で明日の目覚めが悪くなるだけだ。



「ハハッ…ウソウソ…冗談……」




「ハンジさん……」



冗談なわけないだろうと皆思ったが、ハンジは軽く笑うと壁際に腰をおろしてゴーグルを直した。



ハンジの脅しで本当に死ぬと思ったのだろう。

ニックは情けなくも腰を抜かし、額を地につけ震えていた。




「ねぇ…ニック司祭?壁って全部巨人でできてるの?」



「…う…うぅ……」



先程とは打って変わり優しい声色で問いかけるが、聞こえてくるのは震えた嗚咽のみ。

それでなんとなく想像できてしまう解答に思わずハンジはゾクリと背筋が凍りついてしまう。




「分隊長…?」




「あぁ…いつの間にか忘れてたよ…こんなの…初めて壁の外に出た時以来の感覚だ……」




沈んでいく太陽をボンヤリと見つめながらハンジはボソリと呟いた。




「怖いなぁ……」




いつも暑苦しい程のエネルギーを滾らせ巨人の研究に、訓練に、武器の開発に、精を出しているハンジが“怖い”と消え入るような小さな声で漏らした感情。


少し疲労がうかがえる姿から、本音がこぼれたのだろう。


ギラギラと揺れるオレンジ色の太陽が完全に沈むまで、誰もハンジに声をかけることができず、ただただニックの嗚咽を聞く事しかできなかった。





───────────────




日没後、壁の修復作業が開始されたが、ハンジ班にエレンを始めとする作戦に関わった104期の新兵は、ストヘス区内の憲兵団支部の施設へと招集がかけられた。


この日を総括する会議が行われるのだ。


だが当然エレンは力を使い果たし地下室で眠っている。


アルミンもミカサも、そして護送車の中でエレンと入れ替わったジャンも、一緒に地下室で付き添っているのだが、アルミンは会議に出てほしいとなり、クレアは地下室まで呼びに行く事になった。



/ 1981ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp