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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第53章 謎と疑惑と真実





何が起こっているのかサッパリ分からない。



「な、何よ……?ちょっと待って…アレはたまたまあそこだけにいたの…?!もしそうじゃなきゃ壁の中すべてに巨人がぎっしり?」



ハンジの心臓の音が脈打つごとにどんどんと大きく響く。



「壁の中すべてに…巨人が……」



ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……



「…分隊長…?!」



自分の心臓の音が聴覚の全てを支配し、モブリットの声すらも聞こえなくなった。


そして視覚は壁高くから自分達を不気味に見下ろす肉感のある眼球しか映らず目を背ける事ができない。



「……………」



壁の中にいた巨人。

そんな考えもしなかった事実にハンジの思考回路はショート寸前、爆発寸前だ。

身の危険を感じたハンジの身体は自己防衛機能が働いたのか、五感の全てをシャットアウトさせていく。



「……………っ!!」



全ての感覚をシャットアウトさせたハンジは、何も聞こえなくなり、何も見えなくなり、右も左も上も下も分からなくなった。


その浮遊感にも似た感覚に足元がふらついた時、何者かにより後ろから勢いよく肩を掴まれた。



ーガシッ!!ー



「えっ…!?!」



肩を掴まれた衝撃で我に返ったハンジはゆっくりと後ろを振り向く。



「ハァ…ハァ……るな…」



「ニック司祭…?!」



ハンジの肩を掴んだのはウォール教の司祭であるニック。

エレンを裁判にかけた時、大声で叫び声を上げる場面もあったためハンジはその顔も姿も良く覚えていた。

そのニックが息を上げて強く訴える。



「あの巨人に…日光を…当てるな……」



「え…?」



「何…でもいい、光を遮るものを…被せろ…急げ……!!」



この様子から察するにあの巨人は生きている。

そしてニックは…ウォール教の幹部はこの壁について深く知っている。


何故知ってて黙っていた。


ハンジはニックに聞きたいことが山程あったが、今は目の前のこの巨人をなんとかせねば。


ハンジは戸惑う感情を押し殺すと、周りでざわついている調査兵に命令を下した。



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