第52章 雨
ーコンコンー
すると、アルミンが目を覚ましたタイミングでミカサが医務室にやってきた。
きっとアルミンの体調を心配してきたのだろう。
「失礼します。ミカサ・アッカーマンです。……あっ、アルミン!起きて大丈夫なの?」
ミカサもアルミンの事を心配していたのかすぐにベッドまで駆け寄ってきた。
「アルミン君、吐き気や目眩はないかい?」
「はい…大丈夫です。」
「そうかい。ではもう少しここで休んだら部屋へ戻っても大丈夫だろう。ただし、動いていてまた気分が悪くなる様なら戻ってくるんだよ?」
「わ、分かりました……」
医師の診断を聞いていたクレアとミカサは、ひとまず安堵をするが、その割にはアルミンの表情が固い。
「ねぇアルミン?どうしたの?何か不安な事でもあるの?」
クレアが優しく問いかけると、アルミンは掛け布団のカバーをギュッと掴みながら答えた。
「あの…クレアさん…僕みたいな新兵なんかがエルヴィン団長と直接話をする事は…可能でしょうか?」
「え?!」
予想外の返答にクレアも戸惑うが、アルミンは体力こそ他の調査兵と比べると劣るが、頭の良さや回転の良さでは軍を抜いているとミカサから聞いていた。
「何か、大事な話があるのね?」
「は、はい…どう判断されるかは団長に委ねられますが…」
「大丈夫、エルヴィン団長は新兵の話だってちゃんと聞いてくれるわ。直ぐに呼んでくるから待っていて!!」
「あっ!クレアさん!私が行きますので!」
ミカサが気を利かせて自分が呼びに行くと申し出たのだが、ミカサはアルミンの様子を心配してきたのだ。
「ううん、私が行ってくるからミサカはアルミンの側にいてあげて!」
「クレアさん……」
そう言ってニコリと笑顔で医務室を出ると、クレアは急ぎ足でエルヴィンの執務室まで走った。