第52章 雨
「………………」
リヴァイが最後言いかけた言葉。
エレンや医師の前でいったいどういうつもりなのだ。
自分が止めていなかったら最後まで喋っていたのだろうか。
リヴァイの思惑が全く分からなかったが、なんとか問題発言を回避できたのだからよしとしよう。
「クレア君もリヴァイ兵長も仲が良くて微笑ましいね。」
「えぇ!!??」
しかし、ホッとしたのも束の間、医師がニコニコととんでもない突っ込みを入れてきたため、クレアはビクンと背筋が伸びそのまま仰け反ってしまった。
「せ、先生…!?」
「いや本当に、仲がいいと思ってね。」
医師がどこまで自分達の事を知っているのかは不明だが、この様子を見る限りだともう何もかもバレているのだろうとクレアは天井を仰ぎながらため息をついてしまう。
「そ、そんな事は決して……というか、誰にも言わないで下さいね!!ま、まぁ…もうバレてる人にはバレてると思いますが…」
「分かっておる分かっておる。クレア君もリヴァイ兵長もまだまだ若いんだから、調査兵の仕事だけでなく、ちゃんと人生を楽しまなきゃ駄目だよ。」
「は、はい……」
リヴァイはクレアから見ればだいぶ年上に見えるのだが、年配の医師から見てみれば自分達2人は全然若く見える様だ。
若者を励ます様な優しい顔でポンポンと肩を叩かれてしまった。
リヴァイとの関係がバレていた事に若干気不味くなっていたが、あたふたとしていると、ベッドの方から小さな声が聞こえてきた。
「あ、あの……」
ベットで眠っていたアルミンが目を覚ました様だ。
「あ……アルミン大丈夫?頭は…痛まない??」
「あ、クレアさん…頭の傷は、もうあまり痛みません……」
すぐに医師がかけよりアルミンの様子を診るが、少し顔色が悪く、何かを考え込んでるような表情をしている。
いったいどうしたのだろうか。