第52章 雨

そして数分後…



「アルミンお待たせ！！団長、来てもらったよ！」



「クレアさん…すみません…それにエルヴィン団長……」



アルミンはエルヴィンにここまで足を運ばせてしまった事を詫びようと、身体を起こして敬礼しようとしたが、エルヴィン本人によって止められてしまった。



「アルミン。話はクレアから聞いた。急に起き上がるのは身体に良くない。敬礼はいいから早急に話を聞かせてもらえないか？」



エルヴィンも、アルミンが頭脳明晰だという事は訓練兵時代の資料で十分に知っていた。

そのアルミンがまだ体調が優れない中呼び出してきたのだ。
きっと今回行われた壁外調査の事で間違いはないだろう。

そう思ってすぐに飛んできた。



「エルヴィン団長…僕は、ネス班長とシスさんが女型の巨人に殺された後、攻撃を受けて落馬しました。でも、女型の巨人は僕を殺さなかったんです。」



「！？」



「落馬した僕に近づいて来て、フードを摘みめくられると、顔を見られました…そして、僕の前から去って行ったんです。」



「何…それ……」



エルヴィンもクレアもミカサも、アルミンの証言に驚きを隠せなかった。



「きっと、エレンを探していたんだと思われます。何故僕を殺さなかったのかは不明ですが……間違いなく壁を壊したヤツらはエレンを狙っていると言って間違いないと思います。」



「…何故エレンを探していたと断言できるんだい？」



「僕が落馬をした後、同期のジャンとライナーと合流し、女型の足を止めようとしたのですが、その時、僕が叫んだ“死に急ぎ野郎”という同期にしか知り得ないエレンのあだ名に反応したんです。その後の行動には疑問が残る所もありますが…エレンを探していた事は明白です。」



「そうか…という事はアルミン、君は女型の巨人の正体に目星がついてるように見えるのだが…」



「はい…証拠はありませんが…」



その言葉に医務室内の空気が一気に緊張した。