第52章 雨
「す、すみません…私も兵長がご無事で安心しております…なので…もっと私に…触れて下さい……」
「…!?」
顔を赤くしながら素直すぎる言葉にリヴァイの方が面食らってしまった。
「何だよ…今日はヤケに素直だな。」
「……はい。先輩であり、友人でもあった方からの教えです。」
先輩であり友人でもあった…か。
その人物はペトラの事だろう。
ペトラは自分に尽くしてくれていただけではなく、自分とクレアの関係にも尽くしてくれていたんだなとあらためてリヴァイは思った。
帰還した時にペトラの父親から声をかけられたが、動揺していたのか、つい先程の事だというのに自分でもなんと言って返したのかよく思い出せない。
死しても尚、こうして想いを遺し尽くしてくれたペトラ。父親には自分の口からちゃんと伝えるべきだったと、リヴァイはズキリと胸が痛んだ。
「そうか…それは良い事を学んだな…お前にそんな事を教えた兵士に敬意を示して……望み通りにしてやる…」
「兵長……あっ……」
リヴァイはクレアの立体機動装置とベルトを外すと、びしょ濡れになってるジャケットも脱がして放り投げる。
頭からずぶ濡れになったクレアは当然ジャケットの下に着ているシャツもびしょ濡れだ。
濡れたシャツからオレンジ色のブラジャーのレースが透けて見える。
クレアの身体から香ってくるキンモクセイの花と、そして、水分を含んだ蜂蜜色の髪の毛と同じ色だ。
色白で蜂蜜色の長い髪の毛。
そして硝子玉の様に大きくて蒼い瞳のクレアはどんな色の服でも良く映え、良く似合う。
否、似合ってしまう。
だがキンモクセイの花も、その香りも、クレアが好んでつけていたから好きになったのだ。
そんな背景もあり、リヴァイは数ある色の中でも、クレアには特にオレンジ色がよく似合うと思っていた。
それ故にこのシャツから透けて見える下着は中々にリヴァイの興奮を煽った。