第51章 第57回壁外調査
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その頃、エルヴィン達は一旦森を抜けるため、西方向に向かって馬を走らせていた。
「エルヴィン…どうしてリヴァイに補充させたの?時間がないのに…」
急いでカラネス区へ帰還と言ったのはエルヴィンだ。
急いでエルド達を呼びに行かなければならないリヴァイに何故補充が必要だったのかハンジには疑問だった。
「ハンジ…それはクレアが言っていた疑問に基づいて君が言っていた推論を思い出したからだ。」
「ん…?!」
「超大型巨人が消えた時、その中身を誰も見ていないのは、“中身”が立体機動装置をあらかじめ装備していたから蒸気に紛れて素早く逃げる事ができたのでは…と言っていた件だ。」
「でも、それは…エレンが巨人からでた時の状況を考えるとできそうもないって結論づけたはずでは?装備は破損して戦闘服さえ無くなっていたんだよ…それにあの熱だ。巨人化や巨人を操る事には練度があるとしても、あの熱に立体機動や戦闘服は耐えられない。」
確かにハンジはクレアがふと漏らした疑問を元に立てた仮設をエルヴィンに話しはしたが、エレンが巨人から出てきた時のあの熱と蒸気を考えると立体機動装置も戦闘服も、わずかな時間とて、とても耐えれる温度ではなかった。
「女型の巨人は叫び声で巨人を呼び寄せる能力を持っていた。我々はそれを予想できずに作戦は失敗した。あの敵を出し抜くためには発想を飛躍させる必要がある。“巨人の力”に練度があるとしたら、身に纏うものもの1つでさえ初心者のエレンを基準に考えるのは間違いだった。君達の推論の通り敵が蒸気に紛れて脱出する事ができ…我々と同じ装備を見に纏っていれば、兵士に紛れ込む事もできるかもしれない…」
「エルヴィン……」
「団長……」
「敵が…力を残す術を持っているのなら、再び巨人を出現させる事ができるかもしれん…」