第51章 第57回壁外調査
エルド達がいたから共に戦えた。
オルオ達がいたから背中を預ける事ができた。
ペトラ達がいたから前だけを向いてひたすらに走れた。
グンタ達がいたからクレアの事を相談できた。
リヴァイはそれぞれの亡骸の前に行くと、即死状態で開いたままの瞼を閉じてやり1人1人に敬礼をした。
そして上半身だけになってしまったエルドの遺体の前に膝をつくとキラリと光るものが見えた。
「………」
首元で光っていた物をそっと手に取ると、これはエルドがフレイアに贈った物だ。
フレイアが死んで、遺品整理をしていた時に出てきたから形見にと言って、クレアがエルドに渡していたから間違いはないだろう。
本来ならば、このままエルドに付けたまま送ってやるのがいいのかもしれない。
でもこの時リヴァイは、このネックレスはフレイアとエルドが勇敢に戦ってきた証として誰かの手に渡って欲しいと強く思った。
それはクレアでもいい、フレイアの妹マリアでもいい。
2人が調査兵団のために貢献してきてくれた事を、誰かの側で形あるものとして残しておきたい。
「エルド……悪いな……」
そう願ってリヴァイはエルドの首からネックレスを外すと、それをポケットにしまった。
「…………」
グンタの死は恐らくブレードによる刃で切られたもの。
他の3人は巨人との戦闘によって死んだものと推察できる。
ここでやっとリヴァイはエルヴィンがガスと刃の補充をさせた意味が分かった様な気がした。
女型の中身がまだ生きているのかもしれない。
そしてエレンがいない事に気づく。
「………っクソ」
リヴァイは盛大に舌打ちをすると、エレンを探しに再び飛び上がった。