第51章 第57回壁外調査
感情的な発声か?
だとするとこうピタリとやめるものだろうか?
何か意図がある様にしか思えないが……
「エルヴィン!!!」
すると血相を変えたミケが飛んでくる。
「匂うぞ!!」
「方角は?」
「全方位から多数!同時に!!」
「え!?どういう事?」
全方向から巨人が多数接近?
今の叫び声と何か関係があるのだろうか…
クレアはミケの“全方位から多数”という言葉にゾクリと背筋が凍りついたが、ボケっと凍りついている暇などない。
さらに氷のように冷たくなっていく指先を何とか動かしブレードを握り直す。
「発破準備を急げ!!」
ードォン!ドォン!ドォン!ドォン!ー
「エルヴィン!先に東から来る!すぐそこだ!!」
爆破はもう間に合わない。
「ハンジ!!迎え撃て!!」
「分かってるって!!」
発破は無理だと瞬時に判断し、ハンジ班に討伐を命じたが、向かってきた3体はまるでハンジ達が見えていないかの様にスルリと通り過ぎていく。
「無視された?分隊長!!奇行種でしょうか?!」
「だ、団長!!3体突破します!!!」
「オイ…てめぇ、さっき何かしやがったな。」
リヴァイが苛立ちたっぷりに女型の頭をふみつけるが、東からやってきた3体の巨人はリヴァイに向かって猛スピードで走ってくる。
しかし、そんなのに手こずるリヴァイでは無い。
向かってきた10m級の巨人を瞬時に討伐すると、後ろからついてきていた4m級が女型の巨人の足に食らいついた。
「リヴァイではない…女型の巨人を狙っているのか?……まさか……」
想定していなかった事がエルヴィンの頭をよぎる。
「全方位から巨人出現!全員戦闘開始!女型の巨人を死守せよ!!」
多くの犠牲を払って生け捕りにした巨人。
さらなる犠牲を出してまで死守するなどおかしな話かもしれないが、エルヴィンは咄嗟に今の叫び声とこの状況で、女型の巨人には周りの巨人を呼び寄せ、証拠(=自身)を抹消できる能力があるのではないかと思ったのだ。