第51章 第57回壁外調査
「あ……」
ハンジの言葉に生け捕りにされた女型の巨人の方を見ると、リヴァイとミケが何度もブレードをふるい切りつけるが、何度切りつけても刃が折れてしまう。
ミケを見ればエルヴィンに向かって首を振ってしまっている。
「ハンジさん…どうして…あれは……」
「う〜ん……手の甲を硬質化させてうなじを守ってるの…かな?そんなやっかいな能力…聞いてないよ〜。ん?!でも、鎧の巨人とは少し違うのかな?」
「……え?」
「ほら、手の甲の表面がボロボロ崩れてる。硬度を維持するのは難しそうだね。エルヴィーン!!どうするの??このまま消耗するまで待つのー??」
ハンジがエルヴィンに向かって声をかけると、エルヴィンは少し考えた後に少し首を振って答えた。
「そこまで試している時間はない。」
すると、部下を呼び発破の用意を命じる。
しかし、持ってきている爆薬では威力が強すぎて下手をすれば中身ごと吹き飛ばしてしまうかもしれない。
「手首を切断する様に仕掛けてくれ。合図を送ったら一斉に仕掛ける。最短で起爆せよ。」
どうしてもこの巨人の中身を引きずり出して連れて帰らなくてはならないため、失敗は許されない。
一方、リヴァイは何度切りつけても刃を折られてしまうこの忌々しい硬質化の能力に苛立ちながらも、その巨人の頭の上で冷静な口調で話しかける。
「オイ…いい加減出てきてくれないか?こっちはそんなに暇じゃない。なぁ、お前はこれからどうなると思う?お前はこの状況から抜け出す事ができると思うのか?こっちの迷惑も少し考えて欲しいもんだ。お前を引きずり出す方法を考えては試しを繰り返すんだぞ…」
「兵長……」
黙ったままの巨人に、リヴァイは淡々と喋り続けている。
口数の少ないリヴァイがこんなに、しかも会話をする事すらできないであろう状況の巨人に向かってだ。
なんだか異様な光景だった。