第51章 第57回壁外調査
ードシンドシンドシンドシンドシンドシンー
巨人と思われる大きな足音は、どんどんと大きさを増し、地響きの様に辺りが小刻み揺れる。
隣にいるハンジの額にも薄っすらと汗が滲んでいて、緊張している事がうかがえる。
エルヴィンは巨人を捕らえようとしているのか?
分からない。
“裏の作戦”の事は聞かされていたのに、この状況が分からなすぎて頭が混乱してきてしまう。
「クレア!ボーッとしてないで!エルヴィンの号令…もうすぐだからタイミング外すんじゃないよ!」
「すみません……」
混乱していたクレアを見透かしてハンジが喝を入れた。
しかしハンジの言う通り、エルヴィンの号令はもう間もなくだろう。
ードシン!ドシン!ドシン!ドシン!ドシン!ー
その大きな地響きは、クレアの脳に直接鳴り響き、煩く拍動していた心臓の音をかき消してしまう。
そう思った瞬間だった。
「あっ………」
巨木の間から飛び出してきたのは、ダスゲニーに乗ったリヴァイ。
それにリヴァイ班の班員にエレン。
そしてリヴァイ達を追いかける様に現れた14m級はありそうな巨人。
「……う、ウソでしょ……!!」
その巨人がエレンめがけて腕を伸ばした。
「今だ!!!撃て!!!!」
エレンのピンチに思わず目を瞑ってしまいそうになった所でエルヴィンが起爆の号令を出した。
「クレア!早く!!」
「…はい!!」
ハンジにも声をかけられ、ワケが分からないまま起爆用のフックを思い切り引っ張ると、爆発音と共に
樽から何かが飛び出した。
「キャアッ!!」
一斉に起爆された樽からは、巨人めがけて無数のワイヤーと槍の様な物が飛び出しその巨体を貫いていく。
「なに…コレ……」
すると瞬く間に巨人の全身はワイヤーで固定され動けなくなってしまった。
「いよし!やったぁ!!」
「………」
ハンジが安堵してるあたり、この巨人を捕えるのが目的だったと思ってよいのだろう。