第51章 第57回壁外調査
「クレア!!馬を待機させたら私達も手伝うよ!時間がないから急いで!!」
「は、はい!!」
クレアは、馬から下りるとすぐに荷馬車にかけてある布を取り、中を確認する。
「…………」
最初中に入ってるのは、補給物資かと思っていたが、布を取ると中には樽のような物がぎっしりと積まれている。
そして、ぐるりと周りを見れば、あちこちにこの荷馬車が巨木の幹に立てかけられ、木の上にはバラした樽がいくつも固定されていた。
それは、何かを罠に仕掛ける様に。
「クレア、立体機動でそれを1つずつ木の上にあげてくれる?」
「はい……」
「ここのフックで起爆するから気をつけてね!」
「起爆…ですか?わ、分かりました……」
クレアは言われた通り1つずつ立体機動で樽を持ち上げ、上で待機をしている兵士に渡していった。
「クレア、これで終わりだから上がってきて!」
「はい!!」
全ての作業が終わったようで、周りの兵士たちはそれぞれ配置についていく。
皆、先程ハンジが“起爆する”といったフックを持って、真剣な表情だ。
「おつかれ!そしたらこれからやる事を説明するよ。まずはコレ持って。持ったらエルヴィンの号令で力一杯引っぱる。それまでは何があっても引っぱらないでね。分かった?」
「分かりました……」
クレアは指示された通りT字になってるフックを握りエルヴィンの立っている方を見た。
薄暗い森の中に緊張感が走る。
全兵士、エルヴィンを見つめ号令を待っている。
クレアも自分の心臓の音を聞きながらひたすらに待った。
「……?!」
すると、シンと静まり返っていた森の遠方から何かが聞こえてくる。
ードシンドシンドシンー
この音は…巨人の足音だろうか…
だとすると、その音はこちらに向かってもの凄いスピードで走って来ている。
クレアは起爆用のフックを握った指先が氷の様に冷たくなっていくのを感じた。