第51章 第57回壁外調査
カラネス区の壁門前に到着すると、配置につき号令を待つハンジ班。
「あ、クレアー!!」
すると、後ろから声をかけられた。
「ペトラさん……あっ……」
振り返ると、馬に乗ったペトラから声をかけられた。
リヴァイ班は今到着した様だった。
ペトラやエルド達に混じり、リヴァイの姿も目に入った。
しかし、リヴァイはクレアと目を合わせると、数秒見つめるが、すぐに配置場所に向かって行ってしまった。やはり生きて帰還できなければ言葉を交わす事もできなさそうだ。
「クレア?ねぇ、クレアってば!!」
「ご、ごめんなさいペトラさん…なんでしょうか?」
ペトラはリヴァイ達が配置場所に向かっていくのを確認すると、クレアに顔を寄せて耳元で囁いた。
「クレア、もうすぐ誕生日でしょ?なんか奢ってあげるから何食べたいか考えといてね!」
「へ?え?あの……!?」
「じゃあ、絶対死なないでねぇー!」
言いたい事を言うと、ペトラも配置場所に向かっていってしまった。
「ペトラさん…」
なんでペトラが自分の誕生日を知っているのだろうか。リヴァイがわざわざ言うとは考えにくい。
という事はペトラがリヴァイに聞いたのだろうか。
昨年の春にリヴァイがクレアの誕生日プレゼントの相談をエルド達班員にしていたなど知る由もない。
そのため疑問は深まるばかりだが、間もなく開門だ。
クレアは手綱を握り直すと深呼吸をし、開門の合図を待った。
「団長間もなくです!!付近の巨人はあらかた遠ざけました!開門30秒前です!!」
援護班からの合図が入る。
「開門始め!!これより、第57回壁外調査を開始する!前進せよ!!」
エルヴィンの号令と共にカラネス区の壁門が開くと、いよいよ壁外調査の開始だ。
「…………」
先日、ハンジからされた話が頭をよぎるが、自分は迷う事なく命令に従うのみ。
視界に入ってくる巨人は援護班に任せて、クレアは真っ直ぐとハンジの背中を見つめて全速力で走った。