第51章 第57回壁外調査
ー20歳には絶対に見えないー
ミカサとエレンは昔の馴染みでクレアの年齢を知っていたが、それ以外の104期全員が思った事だろう。
しかし、クレアの苦々しく笑ってる表情を見れば、気にしているに違いない。
いや、絶対に気にしているはずだ。
すると、サシャとユミルがライナーの脇腹にグリグリと肘でつつき“なんとかしろ!”と無言の圧力をかけてきた。
「(はぁ…?俺かよ!?)」
確かに年齢を聞くなど不躾だったかもしれないが、その年齢に叫び声を上げたのはここにいた全員の責任ではないのか?
ライナーは気不味そうにクレアを見るが、クレアは変わらず苦笑いで視線を右に左に泳がせている。
「あ、いや…クレアさん、すみません!変な事聞いてしまって…」
「大丈夫だよライナー…こんな反応には慣れてるから。こんなチビで小さいヤツがもう20歳になるって方がおかしいもんね…」
「そ、そんな事は……」
ヤバイ、勿論クレアの言う事に肯定などできないが、クレアが童顔で小さいのは事実だ。
104期で言えばクリスタがクレアと容姿がなんとなく似ているが、やはりクレアの方が若干小さい上に童顔だ。
そのためキッパリ否定をするのもなんだかわざとらしい。
「(クソッ…どうしたらいい…)」
ジワリと変な汗をかきながら固く拳を握り頭の中でグルグルと考えを巡らせていると、今度は少々厄介な救世主が現れた。
「あれ〜!?104期のみんな、おはよう!今みんな来た所なの?」
颯爽と高いテンションで厩舎に入ってきたのは調査兵団第4分隊分隊長、ハンジ・ゾエと、副官のモブリット・バーナー。
しかし、何だか様子がおかしいのに気づく。
「ん?みんなどうしたの?」
すると、ミカサがシレッと告げ口をする。
「ジャンがクレアさんの身体にボディタッチをして、ライナーがセクハラ発言をしました…」
「はぁ?!何じゃそれは?!」
壁外調査の朝に何をやってるんだと、ハンジは声を裏返して突っ込んだ。