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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第50章 作戦





「もう…いったい何を言い出すかと思ったら…」



ペトラは口元をハンカチで拭きながら、心底嫌そうにため息をついた。



「す、すみません……」



「でも…まぁ、好きな人くらいはいたんだけどねぇ。」



「え?」



「彼氏じゃないよ!ただの片想い!」



少し憂いを帯びた視線でスープを掬い、口に運ぶペトラ。


ー好きな人くらいはいたー


過去形になっているという事はもしかすると…



「ペトラさん、その方は今……」



なんとなく聞いてはいけない様な気がしたが、クレアは聞かずにはいられなかった。

質問したのは自分だが、指先に冷たくなる感覚が走り、胸がギュッと切なく締め付けられてしまう。



「その人は…もう死んじゃったの……」


「そんな……」



なんとなく予想していた解答だったが、やはり言葉を失ってしまう。



「もう昔の話だよ。私がまだ入団したての頃、違う班なのによく気にかけてくれた先輩兵士がいたんだ。まぁ私もまだ15だったから、子供だったんだろうね。優しくされて、気づいたら好きになっちゃってたんだ。」



「………」



「でも次の新兵が入ってくる前に、彼は壁外調査で死んじゃった……別に彼も私の事なんてただの後輩としてしか見てなかっただろうし、そこで私の淡い片想いは終止符を打ったってわけ。だから、お互いに好き合って、両想いで、愛されてるのってすっごく羨ましい…」



「ごめんなさい…そんな話をさせてしまって……」



「ん?いいのいいの、昔の話だしね。でも1つだけ。」



「え?」



「私達はさ、調査兵団に所属している以上、天寿を全うする事はないからさ…だから…」



ペトラは真面目な顔のまま少し前屈みになると、クレアに耳打ちするように囁く。



「イチャつける時はイチャついとかなきゃ後悔するからね!手なわけで話戻すけど改めてさっきはごめん!!」


「ペトラさん!!」



クレアの驚く表情を見て満足したのか、楽しそうにクスクス笑いながら残りのオカズを口にかきこむと、勢いよく飲み込み席を立った。



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