第50章 作戦
「クレア、お前もペトラ達と一緒に行ってこい…」
「あ、でも……」
「ここはいい。混み出す前に行ってこい。」
リヴァイは書類に目を通しながら手をヒラヒラとさせている。
本当に手伝いは不要のようだ。
「で、ではお言葉に甘えて…失礼します。」
ペトラとクレアは扉の前で敬礼すると、執務室を後にした。
「………」
昨年程では無いものの、新兵達は何かとクレアに構ってもらおうと声をかける。
それにクレアもクレアだ。
今年の新兵はトロスト区の襲撃で危険な目にあったにも関わらず勇敢にも入団をしてくれたと、とても感激をしていた。
そんな104期が、健気で可愛く感じるのだろう。
このまま仕事を持ち帰る事も可能だったが、食堂でクレアが104期の新兵に囲まれて、無自覚にあの可愛い笑顔をふりまきでもしたらたまったものではない。
そう考えたリヴァイは、ペトラと一緒に食事をさせてから帰ることにした様だ。
自分は戻ったら何か適当にある物を食べればいい。
そんな事を考えながらリヴァイはペンを片手に書類仕事を片付け始めた。
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エルド達にリヴァイの伝言を伝えに行ったペトラとクレアは、早速皆で食堂に来ていた。
いつもはエルド達と混ざって食事をしているペトラだったが、今日はクレアがいるのだ。
テーブルは気持ちよく男女に別れた。
「…クレア、さっきはごめんね!」
「…え?!」
夕飯の乗ったトレーをテーブルに置き、クレアの向かいに座ったペトラが両手を合わせて苦笑いをしながら謝罪をした。
しかし、謝罪の理由が分からないクレアは首を傾げてしまう。
「ど、どうしてペトラさんが謝るんですか?」
「え?だって、兵長とイイ所だったんでしょ?邪魔しちゃってごめんね!!」
「!!!!!」
まさかの言葉に、クレアは口に入れようとしていたスープをスプーンごと落としてしまった。
そして、みるみると顔が赤くなっていく。