第50章 作戦
さて、このままどうしたものかと考える。
もう自分はエレン達と古城に戻らなければならないのだ。
ここでこのまま想いのまま抱いてしまいたいが、生憎そんな時間はなさそうだ。
「兵長……?」
戸惑いながらリヴァイを見つめるクレア。
名残惜しいが、今日はここまでの様だ。
潔く諦めたいが、その前に一度だけ、愛しい恋人と唇を重ねる事くらいは許されるだろう。
そう思ったリヴァイはクレアの頭を優しくひとなですると、ゆっくり顔を近づけていった。
「………っ!」
近づいてくるリヴァイの顔にキスをされると察したクレアは素直にギュッと目を瞑る。
しかし…
ーコンコンー
そのお別れの口付けは、来室を知らせるノックの音により中断となってしまった。
「兵長いらっしゃいますか?ペトラ・ラルです。」
クレアはすぐに起き上がり座り直すと、リヴァイは扉をあける。
やってきたのはペトラだった。
「失礼します兵長…あ!す、すみません……」
2人の事情を知っているペトラは、ソファに座っているクレアを見て“取り込み中”だったと気づくと、慌てて頭を下げた。
「そ、そんな…ペトラさん…」
謝るペトラにクレアも慌てて両手を前に出しブンブンと振る。
「大丈夫だ。ペトラ、要件はなんだ?」
慌てる2人に構うことなくリヴァイは冷静に要件を聞いてきた。
「す、すみません…あの、古城に帰る支度が整ったのでその報告に…」
「そうか…」
リヴァイは机に積まれた書類と窓の外を見る。
季節は春。気候は暖かくなり、冬に比べると日もだいぶ長くなってきた。
「ペトラ、俺は少し片付けなきゃならない仕事がある。お前達はその間食堂で夕飯食って待ってろ。その方が戻ってから楽だろ?」
勿論、古城にも食材はある。炊事できる施設もある。しかし、古城では保存のきく固いパンや根菜くらいしか食べる物がない。
決して調査兵団の食堂が豪華とは言えないが、この所は古城で侘しい食事が続いていたのだ。
リヴァイは食堂で夕飯を済ませてくるよう提案をした。