第50章 作戦
「クレアさん、この2人はある意味人間じゃないから聞くだけムダですよ!」
「え?どういうこと?」
「ミカサは化物級、というか化物だし、サシャはキース教官の前で芋食って見せる程の神経なんで、きっと通常の感覚が備わってないんですよ。」
「えぇ?!」
「コニー……」
「コニー!それは聞き捨てなりませんね!私は人里離れた山奥の集落で育ったから馬の面倒見るくらいなんでもないんですよ!」
「…………」
クレアは思わず絶句してしまった。
自慢ではないが、奇行種と呼ばれていた当時の自分もあの馬当番では死ぬ思いをしたのだ。
だが、確かにミカサは訓練兵団主席で卒業しただけあって体力も持久力も申し分ない。
また、筋肉が殆どつかないクレアと比べるとミカサの体型は筋肉質だ。
そしてサシャも、森の中の動物を狩って生活をしてきた狩猟民族とクレアは聞いていた。
サシャは馬の扱いがとてもうまい。
おそらくは一日中森の中を馬で駈けている様な生活をしていたに違いないだろう。
「2人とも…凄いのね…尊敬するわ。それにサシャ…キース教官の前で芋って何…?」
あの冷徹教官で有名なキース・シャーディス。
クレアはハンジの班に入りたいと問答した時に何度も怒鳴られた過去がある。
そのキース教官の前で芋を食べたなど、自分が“ハンジに心臓を捧げたい”と豪語した事よりも遥か上をいくだろう。
「クレアさん!それは今度話しますからこの痛みから開放される方法知ってたら教えてくだしゃい……」
「あっ…」
涙目で必死に訴えるコニー。
そうだ。
今はこの2人の痛みをどうにかしてやらなければ…
しかし、教えてやりたいがどうしたものかとクレアは考え込んでしまう。
クレアは例に漏れずに調査兵団の洗礼とやらを受けたが、あの時はリヴァイのお陰でなんとか乗り切ることができたのだ。