第50章 作戦
「もしかして、今日予備馬の当番だった?」
「はい……」
そう、アルミンの班は予備馬の当番だった。
すると、今度はミカサとアルミンの背後からうめき声の様な不気味な声が近づいてくる。
「う…オレ……もうダメだ…」
「あ…コニー…大丈夫??」
この様子から察するに、今日はアルミンとコニーの班合同で予備馬の当番だった様だ。
「ほらコニー、これくらいの事で情けないですよ。」
「ぎゃああああ!!何するんだよ!今全身の筋肉がヤベーんだよ!空気読めよバカ!」
サシャがコニーの背中を軽く叩くと断末魔の様な悲鳴を上げた。
「クレアさん……どうして予備馬の当番ってこんなにキツイんすか?」
「え…?そ、それは…壁外調査では予備の馬も並走させるでしょ?だから調査兵団には他の兵団よりも馬が多いの。となれば自然とお世話の時間もかかってしまうのよ…でも…キツイのはよく分かるわ。」
少し考えれば分かりそうなものだが、クレアは丁寧に説明してやった。
「クレアさんも僕達みたいになりましたか?」
「え?私?」
アルミンが悲痛な表情でクレアに問いかける。
調査兵団にはいくつか通過儀礼のような洗礼が存在するが、まさにこの予備馬の当番もその洗礼のうちの1つだ。
もちろん例に漏れずクレアだって経験したため彼らの苦しみは痛い程分かる。
「えぇ…私も当時はアルミンやコニーの様になったわ。本当に今日はお疲れ様。」
「やっぱりクレアさんもこんな風になったんですね!!どうやったら早く治るんですか!知ってたら教えて…って…いってぇ!!!」
身を乗り出して大声だしたら今度は腹筋に激痛が走った様でコニーは再び断末魔の叫び声を上げた。
「そ、それはね…ん?というかミカサやサシャは大丈夫なの?」
「「はい…今の所は…」」
「ほ、本当に?!」
本格的な訓練が始まりそこそこ日数はたったため、馬当番も1周はまわった筈だ。
それなのにミカサもサシャも涼しい顔をしている。