第50章 作戦
無事に104期21名が調査兵団入団となり、訓練兵団からやってきた。
昨年より人数は少なめだが、あの惨劇にエルヴィンの演説。
それでも調査兵団に入団してきてくれたのだ。
きっと志高くその命の限り戦ってくれると、皆思った事だろう。
そして本来なら新兵が入団すれば、新兵歓迎会が催されるはずたが、なんと言っても今は非常時。
恐怖に耐えて入団してきてくれた新兵には少し気の毒だったが、今年の新兵歓迎会は自粛となった。
そのため、歓迎される暇もなく新兵達は、まもなく行われる壁外調査にむけて、すぐに本格的な訓練に励む事となった。
「クレアさん!!」
「ん?あ!ミカサ。それにアルミン。お疲れ様。あれ?エレンは一緒じゃないの?」
訓練が終わり、水道で顔を洗ってるとミカサが声をかけてきた。アルミンも一緒だ。
やはりミカサはクレアの事を覚えていた様で、入団すると、すぐに声をかけてきてくれた。
そのため、クレアは104期の新兵の中ではミカサとアルミンに声をかけられる事が多かった。
「エレンはさっきまで一緒でしたが、エルドさん達と古城に戻る準備をしに行きました。」
「そっか…」
そして何よりも昨年、一昨年と大きく違う点がある。
それは、クレアが新兵から囲まれて質問攻めになるという事がなかったという点だ。
その理由は至ってシンプル。
今目の前にいるミカサ・アッカーマンの存在だ。
ミカサは訓練兵団でもずば抜けて成績が良く、立体機動の操作にも長けていて、先日のトロスト区襲撃事件でも訓練兵とは思えぬ程の働きを披露した。
良くも悪くも見た目が目立つクレア。
勿論、今年も例に漏れず注目を浴びなかったわけではない。
しかし、ミカサは昔のクレアとは違って、口数が少ないながらも他の同期とそれなりに交流はしていた。
身近な同期にミカサというずば抜けた存在がいたせいか、クレアが質問攻めに合うことはなかった。
しかし…
「あれ?アルミン…?大丈夫?」
「あの…えと…あまり大丈夫じゃありません…」
アルミンの顔色が優れない。
そして動きもなんだか妙だ。