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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第49章 104期入団






クレアはデイジーに積んだ荷物から薬と包帯を取り出すと、ペトラに近づき、痛々しく歯型の残った右手をとると、薬を塗り、包帯を巻いた。



「クレア……?!」



「エレンはきっと大丈夫ですよ。ペトラさん達の想い、ちゃんと伝わってる筈です。少なくとも…この手の噛み傷の深さを見れば、皆様がどれだけエレンを想ってやったのかわかるはずです。」



そう言うと、クレアは包帯の巻き終わった右手をそっと包み込む。

この傷は歯型が残っただけではなく、皮膚を破り、血を流し、腫れていた。こんな事、とてもできることではない。


クレアは持っていた薬のチューブをペトラに握らせた。きっと、エルド達も同じように傷が痛んでる筈だ。


「コレ、化膿止めです。雑菌が入って化膿でもしたら立体機動の操作に障ります。皆様に塗って差し上げて下さい。」



「クレア…ありがとう……」



クレアの気持ちが伝わったのか、薬を握り締めながらフワリと優しい笑顔を見せたペトラ。

この笑顔は、親友フレイアを亡くしてからずっとクレアを支えてきてくれた笑顔だ。



「いいえ…私にはこれくらいしかできませんが…また、訓練で…」



「うぅん…!!ありがとう!また訓練でね!!」



ハンジとクレアが馬に跨がると、ペトラは2人の背中が見えなくなるまで手を振り続けた。






────────────────


数日後、例年より少し遅れて訓練兵団の卒団式が行われた。

卒団式直前に卒業成績が発表されると、希望兵団はその時点でほぼ決まる。

しかし、先日のあの惨劇だ。

死亡した訓練兵もいる。

そんな中で調査兵団を希望してくれる命知らずな訓練兵はいったい何人残っているだろうか。


そんな懸念もあり、今年は異例だが、エルヴィンも卒団式に参加し、直接調査兵団の勧誘をつのる事となった。




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