第49章 104期入団
「さってっと…急いで帰ろう。」
「はい…」
被験体が殺されてしまったため、明日からは通常通りの訓練だ。
話の済んだハンジ達はトロスト区の兵舎へ帰るため、愛馬の準備をしていた。
「クレア…!!」
「!?」
デイジーの馬装をしていると遠くから名前を呼ばれたクレア。よく見るとこっちに向かって来たのはペトラだった。
「ペトラさん…?」
「はぁ…はぁ…間に合ってよかった!!」
「…どうかされましたか?!」
走って来たのだろう。
少し息を上げたペトラが、少し苦笑いをしながらクレアの顔を見た。
「ごめんね…なんか…情けない所見せちゃって…」
「そんな事……ないです…」
「ううん、そんな事あるよ。エレンには1日も早く班に馴染んで仲間として共に戦って欲しいって思ってたのに、あんな傷つける事しちゃって…きっとクレアなら、もっと冷静に…あんなに取り乱す事なく対処できたんだろうなと思ったら、恥ずかしくなっちゃって…クレアより長く調査兵団にいるのに情けないなぁ私。」
「そんな……」
「そう思ったらいてもたってもいられなくなっちゃって…お見送りにきちゃった…」
「ペトラさん…」
気不味そうにはにかむと、ペロッと舌を出すペトラ。
無理矢理笑顔を作り、気丈に振る舞っているように感じたクレア。
きっと、ペトラは人一倍エレンを傷つけてしまった事を気に病んでいるに違いない。
仲間として受け入れたい気持ちがあるのに、自分達に課せられた使命は有事の際のエレンの処分。
リヴァイ班としてリヴァイから使命される程の実力を持ったペトラ。
でも、討伐の実力だけではなく、ペトラはとても優しい。それは、他の誰よりも知っているクレア。
そんな優しい一面を持ったペトラだからこそ、今日の出来事に対してうまく消化する事ができなかったのだろう。