第49章 104期入団
「皮膚無いとクッッッソ熱ッいぜ!!これ!すッッげぇ熱いッ!!」
そのまま膝をつくとハンジは叫びながら天を仰いだ。
もう昇天寸前だ。
そんなハンジにエルド達は絶句し、呆然としている。
「分隊長!!生き急ぎすぎです!!」
「ねぇ!?エレンは熱くないの?!その右手の繋ぎ目どうなってんの?!すごい見たい!!」
繋ぎ目?
そこでエレンはハッとなる。
この手さえ引っこ抜いてしまえば、皆に敵意が無いことを証明できる。
エレンは力の限り右手を引っ張った。
「(こんなもん!!)」
幸い繋がっているのは右手の手首までだ。引っ張ればすぐに抜けるはず。
「んんんんん!!」
「オ…オイエレン!妙な事するな!!」
オルオはエレンを止めようとするが、そもそも人類に敵意が無い事を証明しろと言ったのはそっちだろう。
エレンはオルオの忠告に耳をかすことなく引っ張り続けた。
「フンッ!!!」
見事引っ剥がす事には成功したが、エレンはそのまま後ろにひっくり返ってしまった。
すると、エレンから離れた巨人化した腕は、水蒸気を上げ始める。このまま時間と共に消滅するのだろう。
「ええ!?ちょっと…エレン!早すぎるって!まだ調べたい事が…!?」
頭をワシャワシャと掻きむしりながら慌てるハンジだが、何かを発見するとピタリとその動きを止めた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
リヴァイの命令通り巨人化はできた。
だが、これは自身の意思とは関係無く起こった。
運良く自身に向けられた刃は、ハンジの登場により身を引き裂かれる事はなかった。
しかし力尽くで腕を引っこ抜いた事により、敵意がない事は証明できたが、エレンの頭はパニック状態だ。
「エレン…気分はどうだ……」
「兵長…」
唯一リヴァイだけは冷静だった。
しかし周りの班員の表情を見ると、抜剣したまま険しい顔をしている。
「あまり……良くありません……」
エレンはそう答えるので精一杯だった。