第49章 104期入団
リヴァイであれば、エレンが暴れたとしても殺すのはわけないだろう。
しかし、殺してしまってはもうその時点で得られるモノは何も無くなってしまう。
だいぶ残酷なやり方だが、的を得ている事は確かかな為、エルド達は意見を言う事はなかった。
「おいエレン…“何の危険も冒さずなんの犠牲も払いたくありません”と言いたいのか?」
「い、いえ…」
「だったら腹を括れ…お前に殺される危険があるのはオレたちも同じだから安心しろ。」
そう…言ってしまえばエレンを含めたリヴァイ班は皆運命共同体なのだ。
命の危険はリヴァイ班にもあるとなればエレンは何も言い返せない。
「はい…分かりました…」
エレンが納得すると、机に腰掛けてウズウズとしていたハンジが口を開いた。
「じ…じゃあ実験していいよね?」
「…リスクは大きい…かと言ってこいつを検証しないワケにもいかないからな。」
リヴァイは渋々承諾といった所だが、ハンジからしてみれば渋々でも嫌々でも承諾は承諾だ。
メガネの奥ではギラギラと熱いモノが滾っている。
「計画書はできている。私がやってもいいよね?」
ただならぬハンジのオーラに皆絶句だが、本人はお構いなしだ。
「エレン…分からない事があったら…分かればいい…自分らの命を懸ける価値は十分にある。」
ハンジは“話はこれで終わりだね”とばかりに机からぴょんと飛び降りると、軽快に部屋を出て愛馬ランティスの準備を始めた。
実験の場所は古城から少し離れている様だ。
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やってきたのは古城からほんの少し離れた集落跡だった。不便故に誰も住まなくなったのだろう。
所々に廃墟となった家屋に、涸れ井戸がある。
エレンの巨人化実験はこの涸れ井戸で行われるようだ。
「準備ができたら合図するからー!!それ以降の判断はまかせたよ!」
「了解です。」
ハンジは涸れ井戸の中でなら、エレンが自我を失っても拘束できると思いつき、この場所で実験をしようと決めた様だった。