第49章 104期入団
「…ソニーとビーンは、巨人に対する負の感情を持っただけの兵士による衝動的な犯行では無い…と思う。」
「…え?」
固く握った拳をテーブルに置き、歯を食いしばりながらハンジは呟く。
「躊躇いのない犯行。計画的な犯行。きっと…まだ憶測だけど…この壁内には、巨人の秘密を暴かれては困る者がいるのかもしれない…」
「分隊長……」 「ハンジさん…」
ハンジの言った事は先程エルヴィンの問いかけに対してクレアが答えた内容とよく似ていた。
ハンジも今回の犯行を、クレアと同じように考えていた様だ。
「きっと突き詰めていけば…巨人化できる人間とナニかしら関係が………」
「あっ…ハンジさん……」
ハンジはクレアの紅茶を飲み、ボソボソと呟くと、ソファに吸い込まれるようにコテンと座ったまま横に倒れてしまった。
「分隊長……」
巨人の捕獲成功に、巨人を殲滅したいと願う巨人化する少年の入団。
ハンジの中のテンションゲージの針はもはや振り切りっぱなしの状態だった。
不眠で活動し続けたハンジ。
だが、とうとう燃料切れを起こしてしまったようだ。
ソファに横になり規則的な寝息を立て始めた。
「ハンジさん…大丈夫でしょうか…」
「まぁ、ここ数日ありえない程のテンションで動きっぱなしだったからな…流石に被験体殺害のショックで疲れが出たんだろう。今日はこのまま休ませよう。きっと起きるのは明日の朝だよ。」
「はい……」
まだ時間は午前だ。
だが、ここ数日の事を考えればきっと明日の朝まで起きてこないだろう。
今度は2人でハンジを自室まで連れて行くと、ここ数日で溜まりに溜まった事務仕事を大急ぎで片付けることになった。
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翌朝
早くからハンジの執務室で事務仕事をしていたモブリットとクレアだったが、モブリットが最後の書類にサインをすると、執務室の扉が少し遠慮がちに開いた。