第8章 迷える想い
クレアの瞼がゆっくりと開いた。
蒼い瞳がまっすぐとリヴァイを見つめる。
「よぉ、奇行種。朝だぞ。」
「お…おはようございます……えーと、なんで兵長がいらっしゃるんでしょうか……」
こいつは……バカか……
「朝の第一声がそれかよ、たいした奇行っぷりだな…よく見ろ。ここは俺の部屋だ。」
クレアはムクっと起き上がり、ぐるりと見渡すと確かにここはリヴァイの自室だった。
だんだんと目が覚めてくる。
「あの、私がここにいる理由がサッパリわからないのですが……」
「まぁそうだろうな…」
「確か昨日は、精製の途中で寝てしまったハンジさんの隣で私もウトウトしだしてしまったとこらへんまではなんとか覚えてるのですが……」
リヴァイは仕方なく昨夜のことを説明した。
「夜中俺はハンジのサインが必要で執務室まで訪ねたんだ。その時にはすでにお前たち2人は座ったまま寝ててな。それをモブリットと俺でベッドまで運んでやったってわけだ。感謝しろよ。」
「でもだからってどうして兵長の部屋なんですか?」
「お前の部屋がどこだかわからなかったからだ…」
「…………!!」
クレアの顔がだんだんと青くなっていった。
「そ、それでは、わ、わ、私は昨夜、へ、兵長と…ど、ど、ど、同衾(どうきん)したということでしょうか……?」
リヴァイは呆れたようにため息をついた。
「……………おい…同衾って…いつの時代の言葉だよ。ジジくさい言葉をつかうんじゃねぇよ…余計にやらしく聞こえるぞ…」
クレアはベッドの上で正座をして両拳を膝の上でぎゅっと握っでいる。
コイツはいったい何を想像してやがるんだ。
「何を想像してるのかは知らねぇが、お前も俺も、ただここで寝ただけだ。……なんだ?それだけじゃ物足りなかったか?」
「そ、そ、そんなことありません!」
「どうでもいいが、早く着替えに戻らないと、他のヤツらが起きだすぞ。」
リヴァイは立ち上がると部屋着を脱ぎだし上半身裸になった。
「へ、兵長!何してるんですか?!」
「あ?兵服に着替えるに決まってるだろ。なんだよ…お前は朝からヤリてぇヤツなのか?」
「違います!そんな卑猥な言い方でからかうのやめてください!」