第49章 104期入団
「……なので、今回の実験では新たに得られた情報はないね。今まで話した事は訓練兵の時に教わってるハズだ。エレンも知ってたよね?」
「はい…全部知ってました。」
窓から朝日がさしこみ、外からは小さな鳥が朝の訪れを可愛らしい鳴き声で教えてくれている。
しかし、夜通しハンジの話を聞いていたエレンはそれどころではなかった。
最初こそハンジの熱意に心打たれて真剣に話を聞いていたが、いつまでたっても終わりの見えてこない巨人トークにエレンは段々と疲労を覚え、ついには一睡もすることの無いまま朝を迎えてしまった。
「なのでここからは私独自の推測を交えてもう一度説明するよ!!」
「はい?!あの…でも…もう……」
上の空で聞いていたエレンとは正反対に全くテンションが変わらないまま熱く語るハンジ。
いったいこのエネルギーはどこから湧いてくるのだ…
調査兵団とは本当に変人の巣窟なのだなとエレンは改めて思った。
「まず巨人との意思の疎通に関してだけど、気になる事例があるんだ…持ち主は不明なんだけど……」
まだ話は終わらないのかと思ったその時だった。
「ハンジ分隊長はいますか?!」
「ハンジさん!!」
外に通じる扉と、古城の中に通じる扉が同時に勢いよく開いた。
「え?リヴァイ兵長に、クレアさん……?」
内側の扉から入ってきたのはリヴァイとクレア。
「モブリットか?いったいどうしたんだ?」
外の扉から入ってきたのはモブリットだった。
「分隊長!!大変です!!」
血相を変えてやってきたモブリットの言葉にこの場にいた全員が驚愕をした。
「被験体が…!巨人が…2体とも何者かに殺されました!!!」
「何だって?!!」
「えぇ?!!」
人類の敵である憎き巨人。
しかし、謎が多い故に今回命がけで捕らえた巨人は大事な被験体だったのだ。
巨人が憎いからという理由だけで殺してしまっていいモノではない。
何故そんな事が起きたのだ。