第49章 104期入団
巨人を殲滅させる事。
その一心でここまでやってきた。
でもただ熱意だけで突進しても、もう駄目なのだ。
時には冷静になり、時には既存の考え方を捨てなければならない時もある。
エレンはただ漠然と巨人を駆逐したいとばかり考えていた事を思い返すと、その幼かった考えに少し恥じた。
エレンは思う。
調査兵団に入ってから驚かされてばかりだ。
ハンジさんだけじゃない。
ミケさんにリヴァイ兵長に、変わり者ばかりだらけだ…
これじゃまるで、変人の巣窟。
何かを変えたいと想うのであれば常識など一旦取り払わなければならない。
ここにはそういう人間が集まっている。
変革を求める人間の集団。
それこそが調査兵団。
なのだと。
「エレン…あなたが実験に加わる事で新しい何かが分かるかもしれない。それによって私達は1歩前に進めるかもしれないんだ。期待ばかり掛けるし不快にさせるかもしれないけど…私は今楽しい。こんな変化は今まで無かったからね…」
「ハンジさん…」
ここまで真剣に、本気で巨人と向き合っている者と今まで出会った事があっただろうか?
今は亡き母は調査兵団を最後まで反対し、壁内では壁外に興味を持つことすら暗黙の了解で禁じられていた。
そして、壁内の民の中には調査兵団は税金の無駄遣いと罵るものまでいた。
だが、調査兵団ではみな巨人により奪われた領地を取り戻そうと必死だ。
そしてエレン自身の願望に野次を飛ばす者もいない。
やはり自分の選ぶべき道は調査兵団で間違いなかった。
ハンジの熱意溢れる視線にエレンの胸も思わず熱くなる。
「…よかったら実験の話をもっと聞かせてもらえませんか」
ハンジの熱意溢れる視線につられて思わずエレンも胸を熱くしてしまった様だ。
「え?いいの?」
久しぶりに自分の話に関心を示してくれたエレンに、ハンジの心はワクワクと踊りだしてしまった。