第49章 104期入団
「そ、その…巨人はオレら人類を絶滅寸前まで追い込んだ天敵で…ハンジさんだってその驚異を数多く体験してるはずなのに…」
巨人は人類の天敵だ。ハンジだって数多くの仲間を失ってきたに違いない。だからこそハンジが楽しそうに巨人の事を語る姿を疑問に思ったのだ。
「あぁ…そうだよ……」
しかし、ハンジは真顔に変わり毅然と語る。
「私は巨人に仲間を何度も目の前で殺された。私は巨人に仲間を何度も目の前で殺された。調査兵団になった当初は憎しみを頼りにして巨人と戦っていた。そんなある日私は気づいた。切断した3m級の生首を蹴っ飛ばした時だった。」
「…………」
「軽かったんだ、異常に…巨人の体が……」
「え?」
「そもそも本来ならあの巨体が2本足で立ち、歩くなんて事はできないハズなんだ。どの巨人もそう…切断した腕はその質量にあるべき重量には到底達していなかった。エレンが巨人になった時も何も無かった所から巨人の体が現れたと聞いた。」
「………」
エレンの記憶は途切れ途切れだが、ハンジの聞いたという話は真実だ。
あの巨人は、エレン自身の身体が巨大化したのではく、厳密に言うとエレンは突如現れた巨人のうなじ部分に食い込むように一体化していたのだ。
「私は思うんだ。本当は…私達に見えている物と実在する物の本質は…全然違うんじゃないかってね。憎しみを糧にして攻勢に出る試みはもう何十年も試された。私は既存の見方と違う視点から巨人を見てみたいんだ。空回りで終わるかもしれないけど…ね。」
「ハンジさん……」
「でも…私はやるよ…」
全く迷いのない瞳には巨人の謎を解明するという熱い想いが滾っている。
ハンジの言う通り、怒りや憎しみを糧に戦ってきても何も変わらなかった。
エレンは改めて自問自答をする。
自分は何をしたいのか。
自分は何をしに調査兵団へ入ったのか。
答えは1つだ。