第49章 104期入団
「ハンジ分隊長……」
「やぁエレン、ちゃんと話をするのは初めてかもしれないね。私は今街で捕らえた2体の巨人の生体調査をしているんだけど、明日の実験にはエレンにも協力してもらいたい。その許可をもらいにきた。」
「実験ですか…?オレが…何を…?」
「決まってるじゃん!!それはもう最高に滾るヤツをだよ!!」
ハンジはドンとテーブルを叩くと、身を乗り出しエレンを見る。
「ハ、ハンジさん…ちょっと落ち着きましょう!!」
クレアが制止に入るがお構いなしのハンジ。
鼻息を荒くしエレンを見つめている。
リヴァイ班のメンバーも苦笑い状態だ。
「あの…許可については自分では下せません。自分の権限を持っているのは自分ではないので…」
エレンがチラリとリヴァイの方を見ると、ハンジは焦れるようにエレンの予定を確認する。
「リヴァイ、明日のエレンの予定は?」
「……庭の掃除だ。」
「なーんだ!!ならよかった!決定!エレン、明日は宜しく!」
「あ…はい……」
庭の掃除はリヴァイにとっては最優先事項だったが、ハンジにとっては“最優先事項”ではなかった様だ。身を乗り出すとハンジはエレンの手を握った。
リヴァイからは常に威圧的なオーラを感じていたリヴァイだったが、この目の前で興奮しているハンジには、リヴァイのこのオーラは全く感じてないらしい。
そしてリヴァイもため息1つつくだけで、何も言い返さなかった。
言い返すだけ無駄だと思ったのだろうか。
エレンはまだ調査兵団に入団して数日。
周りの人間関係の温度感はもちろん。この2人の間柄もまだよく分からなかったため、戸惑うばかりだった。
しかし、明日の予定は庭の掃除から自身の実験へと予定が変わったのだ。
どんな事をするのか位頭に入れておいた方がいいだろうと思いエレンはハンジに問いかけた。
「ハンジさん、巨人の実験とはどういうものですか?」
「「「!!!!!」」」
エレンの問いかけに、ハンジが目を光らせると、そこにいた全員が一斉に席を立った。