第49章 104期入団
「な、なぁエレン…未だに信じられないんだが…“巨人になる”っていうのはどういう事なんだ?」
「え?オ、オレですか?」
話の話題が自分に向き少し慌てるエレン。
「あの…その時の記憶は定かではないんですが…とにかく無我夢中で…でも、きっかけになるのは自傷行為です。こうやって手を……」
そこでふとエレンは思った。
自分が巨人化できる事など、もちろん今の今まで知らなかった。しかしなぜ、巨人化する時に自身の手を噛んだのだ。よくよく思い返せば不思議な事だが、エレン自身もよく分からなかった。
「お前らも知ってるだろう…こいつは部分的に記憶障害を起こしている。報告書以上の事は聞き出せねぇよ…」
「は、はい…すまなかったなエレン…」
「いえ、エルドさんが謝らないで下さい。」
「まぁ、あいつは黙ってないだろうが…ヘタにいじくり回されて死ぬかもなお前…エレンよ。」
「え…?あいつとは…?」
「確かまだお前はそんなに話をしてなかったな。まぁそのうち分かる。」
そう、そのうち分かるさ。
リヴァイが心の中で再度呟いた時だった。
「こんばんはー!!リヴァイ班のみなさ〜ん!!お城の住み心地はどうかな??」
「はぁ…もう来やがったか…エレン、あいつだ。」
ノックもなしに扉があきそこから現れたのは、ハンジと息を上げながら手を引かれていたクレアが倒れ込むように部屋に入ってきた。
「ハ、ハンジさん…ですか…?」
「はぁ……」
ウザいくらいのテンションですぐに現れるとは思っていたが、いくらなんでも早すぎだろとリヴァイは盛大なため息をついた。
しかしモブリットではなく、クレアを連れてきた事に関しては文句はない。
おそらくモブリットは山積みになった事務仕事を押し付けられているのだろう。
「おいハンジ、何しに来た…」
「何しにきたは酷いなリヴァイ!もちろん!エレンに会いに来たんだよ!!」
そう言うと、ハンジは親指を出した拳をリヴァイの目の前にぐっど突き出すと、エレンの向かいのイスに腰かけた。