第48章 嫌疑と再会
「クレア…お前はずっとチビなまま変わらねぇな、だとよ…?」
「え?兵長?」
クレアは驚いてリヴァイの方を見るが、脚を投げ出しながらソファに座ったまま意地悪な笑みを浮かべている。
「リヴァイ兵長!!オレは決してそんな事…」
「あ?顔に書いてあったから代わりに言ってやったまでだ…」
「そ、そんなぁ……」
リヴァイはもちろん幼き頃のクレアを知らない。
だからこそ、自分を目の前にしながら、自分の知らない昔話をされた事にヤキモチを妬いたのだろう。
戸惑うエレンに対してもリヴァイは構うことなくフンと鼻を鳴らしてみせた。
「…………」
なんだか場の雰囲気がおかしな事になってる事に気付いたクレアだか、確かに自分はずっとこんな容姿だ。エレンの記憶の中の人物が、5年以上たっても何も変わっていないとなれば、例えそれがエレンでなくても驚く事だろう。
「いいのよ、エレン…確かに身長も見た目も昔とちっとも変わってないわ…逆に変わらなすぎて驚いたでしょ?」
なんとか場の雰囲気を和ませようとエレンをフォローすると、ハンジが助け船をだした。
「もう!リヴァイ!せっかくエレンが調査兵団に入ってくれたんだから虐めないでよ〜!」
「ハッ、虐めなんてくだらねぇ事にするかよ!」
「全くもう…それにコレ見てよ。エレンの歯、折れちゃったんだよ、ほら…」
「あぁ?なんだよ…解剖されるよりはマシだと思うが…?」
「ごめんねエレン…ちょっと口の中見せてよ。」
するとエレンは口元からハンカチを取りハンジの目の前で口をあけて見せる。
「え…?!」
ハンジの素っ頓狂な声に、周りにいた皆がエレンの口の中に注目すると、折れた部分の歯はキレイに生え変わっていた。
「歯が…生えてる…」
項の急所以外は直ぐに復活してしまうのが巨人の特徴だ。
目の前のこの少年は、まさしく巨人化する人間なのだと、ここにいた人間は改めてそう感じた。