第48章 嫌疑と再会
────────────────
無事にエレンを調査兵団に連れて帰れる事が決まったのなら、あとは一刻も早くトロスト区の兵舎へと戻るだけだ。
一行は厩舎に向かい、それぞれの馬の準備をしたが、リヴァイの一言から小さなトラブルが起きた。
それは、エレンを誰の馬に乗せるか…だ。
クレアはエレンに背が伸びたと言っていたが、エレンの身長は、この年齢ならごくごく平均的な身長だ。ミケのようにずば抜けて大きいわけではない。
そのため誰の馬に乗せようと問題は無いのだが…
「おいクレア…デイジーはエレンにかせ。お前は俺と2人乗りだ。」
「え、えぇ?な、なんでそうなるんですか?エレンがデイジーに乗るのは構いません。ですが、それなら私はハンジさんと一緒にランティスに乗ります。」
しかし、リヴァイは頑なに譲らなかった。
「ランティスよりダスゲニーの方がデカイ。トロスト区まで飛ばすなら俺とお前で2人乗りだ。」
先程エレンと昔話をした事を根に持っているのだろうか。リヴァイはクレアの手を引くと、軽々と持ち上げ強引にダスゲニーへ乗せてしまった。
「あ、あの…ハンジさん…オレは…」
全くもって状況の分からないエレンは、近くにいたハンジに助けを求めた。
「あぁ、あれ?まぁ、直ぐに慣れるから!」
「え?」
そう言うと、ハンジはデイジーの手綱をエレンに手渡しランティスに跨るとすぐに発進体制に入ったため、エレンも慌ててデイジーに乗った。
「エレン、君の馬は後日訓練兵団の者が連れてきてくれるらしい。しばらくは調査兵団の予備馬に乗ってくれ。」
すると真っ白なシェリルに跨ったエルヴィンが、エレンにそう言うと、駈歩(かけあし)発進をし走り出す。
「ほら!エレンも遅れないでね!」
ハンジが手を振りながら通り過ぎ、ミケもモブリットも続くように走り出した。
「おいエレン…迷子になるなよ…」
「あっ…リヴァイ兵長!!」
リヴァイもクレアを自身の前に乗せると、走り出す。
「ま、待って下さい!!!」
何故リヴァイはクレアを自分の馬に乗せたかったのか、詳しい事は分からなかったが、今はそれどころではない。
エレンもデイジーを走らせると、皆の後ろに続きながらトロスト区の兵舎へと向かった。