第48章 嫌疑と再会
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とりあえずエレンを連れて、空き部屋に連れて行った調査兵団一行。
「イテテテテ…」
エルヴィンが持っていたハンカチをエレンに差し出し謝罪をする。
「エレン、すまなかった…」
「あ、いや、その…とんでもないです…」
必要な演出だったとはいえ、散々な目にあったエレン。だが、兵団のトップに頭を下げられるなど恐れ多い…
そのため口元の血を拭きながらしどろもどろになってしまう。
「いや、君の嘘偽りない本心を総統や有力者に伝える事ができた。」
「はい…」
「効果的なタイミングで用意したカードを切れたのも、その痛みの甲斐あってのものだ。君に敬意を…」
エルヴィンはエレンに右手をすっと差し出す。
「エレン、これからもよろしくな。」
「はい…よろしくお願いします。」
いつもの爽やかな笑顔で手を差し出せば、エレンもその笑顔に吸い込まれる様にその手を握った。
やはり、あのリヴァイの乱入はあらかじめ予定されていたものだった。クレアはエレンに声をかけたくてそわそわしていたが、まごついている間に今度はリヴァイがエレンのかけていたソファの隣にドカリと座り込んだ。
「なぁ、エレン…」
「は…はい!」
「俺を憎んでいるか?」
「い…いえ。必要な演出として理解してます…」
「ならよかった……」
あまり表には出さなかったが、その返事に少し安堵した様なリヴァイ。
すると、エレンがハンジの隣にいる小さな影を気にし始めた。
「あ、あの…エルヴィン団長…リヴァイ兵長…」
2人の顔を交互に見ながらハンジの方に視線を送るエレン。
エレンもずっとクレアの事が気になっていた。
自分の記憶の中のクレアと同一人物か確かめたいとも思ったし、聞きたい事も沢山あった。
「エレンは、彼女の事を覚えているのかな?」
エルヴィンがクレアに目配せすると、ハンジの腕を掴みながらイソイソとでてきたクレア。
「エレン…」 「クレアさん…なんですか?」
5年以上もの時を越えて再会した2人。
調査兵団で再会するごとになるなど、いったい誰が予想できたであろうか。