第48章 嫌疑と再会
ま、まずかったか……?!
「か、構えろ!!!」
「ハッ!!」
どよめきの中ナイルが部下に銃を構える様命じる。
「エレン……!」
皆エレンの発言に戸惑いざわつくが、クレアの周りにいる調査兵団の幹部組は至って冷静な表情をしている。
このままではエレンが撃ち殺されてしまうかもしれない。クレアは声にならない声を出し1人で慌てふためいていると、リヴァイがエルヴィンの方を見た。
「………」
その視線に気付き、エルヴィンが無言で小さく頷くと、リヴァイは中央の柵をまたぎエレンに近づいて行く。
「兵長…?!」
リヴァイはいったい何をする気なのだ。
エルヴィンもミケも止めないということは、これからリヴァイが何をするのか知っているのだろう。
クレアも固唾を飲み見守るが、リヴァイのとった行動は予想をはるかに越えるモノだった。
ードガッ!!!ー
ツカツカとエレンに近づいていったリヴァイ。
エレンは構えられた銃に気をとられてリヴァイの接近には気づいていない。
しかしリヴァイはエレンの元までたどり着くと、何の躊躇いもなしに思い切りエレンの左頬を蹴り飛ばした。
「兵長…!!!」
あまりにも予想外の展開にクレアは口元に手を当て声を上げてしまう。
だが、リヴァイは周りの視線など気に止めずにすかさず2発目の、蹴りを腹部に。
そして髪の毛を鷲掴みにすると、身動きの取れないエレンの顔面めがけて膝蹴りを入れた。
同じ傍聴席にいたミカサが身を乗り出すが、金髪の少年、アルミンによって止められている。
クレアも思わず止めに入ってしまいそうになったが、エルヴィンもミケもハンジもモブリットも顔色1つ変えていない。
すると、エレンの後頭部をブーツで踏みつけたリヴァイが口を開いた。
「これは持論だが、躾に1番効くのは痛みだと思う。今のお前に1番必要なのは言葉による“教育”ではなく“教訓”だ。しゃがんでるから丁度蹴りやすいしな…」
すると、再びリヴァイは身体の自由を奪われているエレンを容赦なく蹴り出した。