第48章 嫌疑と再会
そして、化け物を見るような目でエレンを見下し、指をさす。
しかし、それはエレンだけには留まらなかった。
「あいつもだ…あいつだって人間かどうか疑わしいぞ…?」
疑いの目は、ミカサにまで向けられてしまった様だ。
1人が口を開けば皆それに続くように嫌疑の目を向ける。
これはあんまりだ……
ミカサは……
ミカサは関係ない……!!
「違う!!」
なんとか平静を保たうと必死に堪えていたエレンだが、周りの身勝手な野次にそろそろ限界が近そうだ。
「イ…イヤ…違います。オレは化け物かもしれませんが、ミカサは関係ありません。無関係です!!」
「な、何だと…!?」
「それに、そうやって自分に都合の良い憶測ばかりで話を進めたって…現実と乖離するだかでろくなことにならない。」
「こいつ……」
ナイルが戸惑いつつもエレンを睨むが、エレンだって巨人を憎み、この狭くて不自由な壁内での生活をなんとかしたいと心から思う理由があるのだ。
それにこのまま黙っていたらミカサにまで変な疑いがかかってしまう。
まずいか……
これ以上は黙った方が…いいのか…
「大体…あなた方は…巨人を見た事も無いクセに何がそんなに怖いんですか?」
いや、そうだ…
コイツらは巨人を見た事もなく、戦ったことも無いクセに、いつだって自分の利益が最優先なんだ。
……言ってやる…
調査兵団の案が通らなければ、どうせここでオレは撃ち殺されるかもしれないんだ。
なら最後に言いたい事を…おもってる事を全部言ってやる…
「力を持ってる人が戦わなくてどうするんですか?生きる為に戦うのが怖いって言うなら力を貸して下さいよ…」
言ってやる…この…腰抜け共に…
「この…腰抜け共め…」
エレンは上昇する心拍数に逆らうことなく全ての感情をさらけ出し叫んだ。
「いいから黙って、全部オレに投資しろ!!!」
「はぁ……」
エレンの叫びに一瞬シンとなった審議所内。
みなオロオロとたじろぐ中、1人の男は静かに溜息をついた。