第48章 嫌疑と再会
「…話を進めよう。次に、エレン…君に質問がある。」
ザックレーは商会達の小競り合いには軽く無視をすると、エレンに声をかけ、再度調査兵団への入団希望の有無を確認するが、今度はトロスト区奪還作戦時の尋問へと話は変わっていった。
エレンは「巨人の力」を行使できるのかと言う質問に、応と答えたが、トロスト区奪還作戦での報告書に記載のあった事をザックレーにより厳しく追求をされてしまう。
エレンは巨人化直後、ミカサに対して3度拳を振り上げたのだ。
「…えっ………?!」
もちろん記憶のなかったエレンは何も答えることができない。
すると、その追求は矛先を変え、ミカサへと向けられる。
「君がミカサ・アッカーマンか。エレンが襲いかかったのは事実か?」
ミカサは否と伺える表情をしていたが、隣にいたメガネをかけた兵士に何か耳打ちをされると、険しい顔をしながら
「はい…事実です…」
と絞り出すように答えた。
オレが…ミカサを殺そうとした?
オレがか?
「しかし、それ以前に私は2度、巨人化したエレンに命を救われました。」
「…!?」
「1度目は、まさに私が巨人の手に落ちる寸前に…そして2度目は私とアルミンを榴弾から守ってくれました。これらの事実も考慮して頂きたいと思っております。」
「それはどうだろう。君の報告書にもそう書かれていたが、君の願望的見解が多く見受けられたため、客観的な資料価値に欠けると判断した。」
ミカサの報告書は“願望的見解”と、ナイルには判断されてしまった様だ。
しかしミカサに向けられた追求は、これでは終わらない。
「君がエレンに肩入れする理由も分かっている。エレンの素性を調べるうちに6年前の事件の記録が見つかった。驚くべき事にこの2人は当時9歳にして、強盗である3人の大人を刺殺している。その動機内容は正当防衛として一部理解できる部分もありますが、根本的な人間性に疑問を感じます。彼に人類の命運・人材・資金を託すべきなのかと…」
すると、外野で小競り合いをしていた者達がまた一斉にエレンを見た。